人体に有害なPFASが東京多摩地域で、約半数の住民から高濃度で検出

日本の水が安全だという神話は、いったいいつの話になってしまったのだろうか。

我が国の水道水の水質は年々悪化しており、徐々に国民が気づき始め、浄水器を取り付けるなどの対策を打っている。

そんななか、2023年5月に東京多摩地域で高濃度のPFASが検出された。

PFASはフライパンのコーティングや防水加工で使われている。

そんな便利なPFASが人体に有害で高濃度検出されたと報道された。

 

本記事では東京多摩地域で検出されたPFASについてご紹介いきます。

東京多摩地域で人体に有害なPFASが高濃度で検出される

2023年5月、東京多摩地域で550人余りによる採血検査が実施された。550人中300人が20ng超えの数値を検出。約半数が高濃度のPFASを体に蓄積していることとなる。

PFASが一度体内に入った場合、体内の量が半分になるまでの期間が4~8年と長いことが問題として挙げられている。この地域では2020年4月に厚労省が定めた水道水中の管理目標値である50ng/Lをはるかに超えていた。2020年4月まででも50ng/Lを超えたPFAS入りの水道水を飲み続けていることになる。

日本の水質管理目標設定項目で暫定目標値はPFOS及びPFOAの量の和として20ng/L以下と定められているのだが、米アカデミーではPFOS及びPFOAなどの7つのPFASの合計値が1mLあたり20ngを超える患者には特別の注意を、と定められてる。

日本では基準内だがアメリカ基準は超えてしまう現状を、どう捉えるかは読者に任せることにする。

PFASは何に使用されているか

PFASは何に使用されているのだろうか。

フライパンのコーティング

私たちの日常として欠かせないフライパンにもPFASは使われている。焦げ付きにくいフライパンは、どの家庭でも愛用されている方は多いのは。

焦げ付き防止機能のフライパンは非常に使い勝手がよく、オムレツなど作るときは重宝してしまいがち。しかし、焦げ付き防止機能がついているフライパンはコーティングが剥がれ落ちやすく買い替えも早い。この剥がれたものを使っていると人体に影響はないのか?といった論争は今でもある。

環境省のHPには以下のように記載があった。

毒性評価

・動物実験のデータとヒトにおける影響データが報告されている。
・動物実験では PFOS、PFOA で発生毒性、肝毒性、免疫作用等が報告されている。
・PFAS のトキシコキネティクスの種差及び性差を認識すると、動物で報告された健 4 康への悪影響がヒトの健康に適用できるかどうかは不確実である。
・ヒトの健康影響は疫学研究によるものが大部分となっている。
・小児のワクチン接種後の抗体価の減少についてのケースでは、PFOS 及び PFOA の血 清濃度と小児の発症率増加との関連を示すデータは限られている。PFOS 及び PFOA の血清濃度と小児のワクチン接種後の抗体価の減少の関連性が、感染率の増加につ ながるかを判定するため、さらなる研究が行われる必要がある。
・確定的となる毒性評価は明確に示されていない。

出典:環境省ホームページ

動物実験では悪影響がでたが、ヒトに対して確定的な毒性評価が明確ではないと記載されている。

 

防水加工

フライパン以外にも防水加工として、ウォータープルーフ化粧品や泡消火薬剤、ホゴグ、防水・防汚繊維、油脂に強い製品などにも使われている。

日常生活の至る所で登場しているようだ。

PFASによる人体への影響は

便利でヒトに対して確定的な毒性評価が明確ではない、とはいっても人体に悪影響が全くないと断言できる訳では無いだろう。

Yahoo!ニュースより血中コレステロール値の上昇や甲状腺機能低下症、腎臓がん、生殖機能に影響、妊娠しにくい、精子の数が減る、子供の成長が遅れる、乳がん、前立腺がんなどの影響が指摘されている。

 

以下の画像は国立がんセンターの画像で腎臓・尿路と前立腺がんの罹患数・死亡数の年次推移である。

 

1つ目の画像が腎臓・尿路のがんの罹患数と死亡数。

1975年から徐々に右肩上がりで増加を示しているが2007年頃から急増している。PFAS以外にも原因は考えられるが、がん患者が増えていることは問題だ。

腎・尿路の罹患数と死亡数

出典:国立がん研究センターがん情報サービス

 

2枚目は前立腺がんの罹患数と死亡数のグラフ。

こちらは2000年頃から急激に増えていることが問題だ。原因はさまざまなことが考えられるため、どれか1つという断定は難しいだろう。

前立腺がんの罹患数と死亡数

出典:国立がん研究センターがん情報サービス

 

乳がんのグラフも国立がん研究センターに記載されていたが、今回紹介した2つと異なり罹患数のデータが約10年間のものしかなかったため省いた。しかし同様に罹患数は増えていたことだけは記載させてもらう。

 

PFASを防ぐために

蛇口を捻ったらでてくるPFASをどうやって防いだら良いのか。

活性炭入りの浄水器を利用していた住民は、利用していない住民と比べてPFASの数値が低かったことがわかった。そのため各家庭に活性炭入りの浄水器を取り付けることが防ぐことのできる。

しかし数値が低かったとだけしか記載されていないため、どこまで活性炭入り浄水器が防いでくれるのかは分かっていない。ただ使わないよりは数値を低くできることだけ分かっている。

 

終わりに

水源に毒や異物が混じっていると各家庭が使う水道水にまで影響が出ることは昔からよくあった。

水が大事だと改めて気づかせてくれた今回の事件。

水に対して、どのように対応していくかが今後の課題だ。

しかし水ビジネスも横行しているため、本当に良いものを適正な価格で購入する消費者の知識も必要となってくる。どれだけ良いようにプレゼンされても実際に有害なものを吸着してくれないなら買っても意味がない。

浄水器にはメーカーが記載していない「銀イオン」が使われていることもあるため、じっくり自分で調べて自分自身が納得のいく答えを見つけてから購入をすると良いと筆者は思う。